長期的に人材を減らしてゆく産業に繰り返し雇調金を支給していたら、景気が回復しても雇用需要が膨らむ可能性がないので、単に過剰雇用を企業内に滞留させてしまうだけだというのである。この指摘はもっともである。実際に、雇調金の給付を受けていた事業所がその後に閉鎖されて、結局は雇用が守られなかったという比率が高く、維持にどれだけの効果があったかも疑問だとされた。もうひとつの批判は、当初の雇調金の給付実績が、製
長期的に人材を減らしてゆく産業... の続きを読む
次のこともまた指摘しておく必要がある。少なくとも現在までのところ、年俸制や業績給の導入は、その本来の形態、すなわち個人の成果に対する毎年の報酬の決定としてではない。もし本来の年俸制が導入されるなら、個人ごとに仕事の目標値が定められ、それを上回る成果に対してはより大きな報酬が与えられ、しかし下回る場合にはその切り下げが待っている。そして高い業績の達成には昇進が与えられ、しかし低い業績が続くなら、解雇
「アップ・オア・アウト」の原理... の続きを読む
転職して新しい会社に入るときには、それなりに(往々にして過大なくらい)意気込みを持っていることが多いので、直属の上司の実力不足は目につきやすいし、我慢しにくいことが多い。もともと、上司から部下よりも、部下から上司の方が、早く正確に実力が見えるものだが、新しい職場の場合、上司に思わぬ応援者が現れたりすることがあるから、上司へのチャレンジは、周囲の状況がよくわかってからにする方がいいことが多い。長く勤
相手の見極めが肝心... の続きを読む
最近のさらなる円高は、こうしたあり方の維持を困難にしつつある。なぜならば、日本経済の中で最も比較優位の高い、効率的な産業や企業ですら、最近の円の為替レートでは利益を出すことが難しい、あるいは赤字に転落せざるを得ない状況にあるからである。これらの効率の高い部門で輸出企業が赤字に陥らないギリギリの為替レートは一九九四年春あたりでIドル=一一五円ていどであるとされる。もしそうであるとすれば、一ドル=一〇
生産拠点の海外移転... の続きを読む
外資系証券会社はグローバルスタンダードで見た価値を、その人の正当な値段として提示したにすぎない。新聞には「雇用約2千人」と出ていたが、ヘッドハンターの私の目からみて、現実に彼らのメガネにかないそうな実力のある人は、その某証券会社の場合で700−1000人。さらに1年後には、半分ぐらいに減ってしまうかもしれない。たとえ大手の外資系証券会社にもぐり込めたとしても「寄らば大樹」と安心するのはまだ早く、本
グローバルスタンダードの世界に慣れたほうがよい... の続きを読む
中小企業の経営者に聞くと、高齢者の雇用については複雑な反応が返ってくる。自分の会社に長く働いていて高齢になった人はともかく、別の大会社などから高齢者を雇い入れることには二の足を踏む経営者が多い。管理職などで経験のある人を雇いたいのだが、定年近くなった人は覇気がなくて使い難いという。ところが、そう言う経営者自身はいくつになっても元気が良く活力に溢れている。なぜサラリーマンの世界ではそういう現象が出て
サラリーマン組織は競争しながら昇進する... の続きを読む
ベンチャー企業の社長Fさんがいつも胸にしのばせていたものとは?ビジネスマンの過去の話で「苦しかった時期、辞表をしたため、いつも内ポケットにしのばせていた」というのは、たびたび耳にする逸話ではないだろうか。辞表を隠し持つというのは、会社内で苦しい立場に追い込まれたという意味もあるが、一方で背水の陣に身を置くことで、自らを奮い立たせていた面もあるだろう。いざとなれば会社を辞める覚悟を懐に、開き直って仕
社長の辞表... の続きを読む
タクシー業界は、ただでさえ不景気でタクシー利用が控えられる時代に、事業の参入規制も需給規制も緩和されてしまった。タクシーへの需要は低迷しているのに台数だけは増えるという熾烈な競争のために、売上げも運転手の収入も激減した。そこそこの売上げを得たかったら、車の回転率を上げる以外にない。「信号が黄色から赤に変わったまさにそのときなら突破する、青信号なら横断歩道に人が出ないことを前提につき走る、そんな運転
競争政策によるもの... の続きを読む
労働相談に現れた問題はごく一部の現象であるとか、景気が回復すれば否定的な状況も改善されるはずだ、現に失業率は改善されているではないか、という声もある。巷では規制緩和は、新しい経済に適合して発展の基盤をつくるには不可欠なことだという考え方が一般的になっている。しかし、失業率は改善されても、そこで拡大した雇用の質は劣悪で、健康で文化的な最低限度の生活を充足させて「生きる」には値しないものでしかない場合
負の影響は一時的か... の続きを読む
約四十年もの間、日本の大手企業は基本的にこのような安定した時代が続いてきた。この時期にビジネスパーソン時代を過ごした人はほとんど第一線を退いているだろうが、大手企業に勤務した人であれば公的年金や企業年金の額もそれなりにあり、住宅などの資産も形成されていて、経済的にはおおむね恵まれた条件にいる人が多い。労働力のマーケットで見ても、経済規模は拡大続きだったから、企業にとっては慢性的に人不足の状態が続い
長期間社内に引き留めておくための制度を次々と構築... の続きを読む
大学生になるまでの間、子供たちの「行動」が圧倒的に足りないということである。親や学校から用意された勉強は確かに一生懸命してきたかもしれない。しかしこの勉強は自分で思い立って始めたものではなく、誰かにお膳立てされて始めたものであることが多い。だから勉強の計画を立てて(P)、実際に勉強してみて、その結果を検証し(C)、さらに効率よく学習していく(A)というサイクルを自分で回してきた学生は非常に少ない。
自分から何か「行動」を... の続きを読む
法律レベルで解雇規制を緩和・ルール化するという政策に転換する場合、経営の自由度を高めるという視点よりもむしろ、採用コストを低下させ、入口主義の閉鎖性をなくし、再就職しやすい横断的な労働市場を作り出すことが必ずセットで考えられるべきできであり、そのための仕掛けを考える必要がある。そのため、私は、政府は経営者の労務管理権限に積極的に介入すべきだと考える。ここでは二つ提案しようと思う。第一に、解雇規制の
経営者の労務管理権限に積極的に介入すべきだ... の続きを読む